クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦

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第六作は前作とはうってかわって「007ばりのスパイアクションもの」と派手な展開を見せる。
 銃器、メカ、アクションは本家007以上の充実度とサービスぶり。また007映画には付き物の「美女」にしても、「銃って下品でキラーイ」と言いながら、格闘技でビシバシ敵を粉砕する「お色気」が冒頭から全編に渡って大活躍だ。こういう「強〜いおねいさん」がしんのすけのガード役というキャラクター配置も、クレしん映画の基本フォーマットを踏襲している。
 ただしこれまでのルルや吹雪丸や東松山よねといった「若いおねいさん」と違って、お色気は子持ちのバツイチママさん。ちゃんと肉の付き方とかが「子供を産んだことのある女性」のボディラインになってて、なおかつ艶っぽいのだ。あのクレしんの少ない線で、ここまで描写できるアニメーターさん達の力量には脱帽である。
 また今までの映画ではほとんど活躍の機会が無かったしんのすけの友人たち(風間・ネネ・マサオ・ボー)に、「カスカベ防衛隊」として見せ場が与えられたのもこの第六作から。この五人の掛け合いは第八作「嵐を呼ぶジャングル」を経て、「オトナ帝国」のバーや暴走バスのシーンに結実する。
 さて映画の後半、一人でおいしい所をさらっていくのが、もう一人の主役・ぶりぶりざえもん。湯浅作画による「ぶりぶりざえもんの活躍想像ビデオ」の部分は、卑怯でアナーキーでパワフルな彼の魅力を描ききった快パートだし、逆にしんのすけの説得に目覚め、人を助ける事の大切さを知り、ウイルスである自らを消滅させていくシーンは実に感動的(今までのTVシリーズや、「ヘンダーランド」の時にしんのすけを裏切りまくっていたぶりぶりざえもんを知っている昔からのファンなら、ここで更に感動が増す)。
 そして「ぶりぶりざえもん」という外見に惑わされやすいが、これは「人工知能が倫理と友愛を学ぶ事によって、自己犠牲の精神を獲得する」というSF的にも「深い」ストーリーである事を忘れてはなるまい。
 さらにこの映画が公開された二年後に、ぶりぶりざえもん役の塩沢兼人が事故で逝去した事もあって、ラストの燃えさかる炎の中に消えていくぶりぶりざえもんのカットなどは、今や涙無くしては観られないものとなった。
 この様に一本の映画の中で、キャラクター・アクション・ギャグ・感動がバランス良く盛り込まれており、シリーズ中、完成度・評価共に高い作品である。


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